中医学では人体の構成は気・血・津液(水)のみからなっている。気とはエネルギー(ATP)や酸素である。血は血液を含むあらゆる栄養素、津液は唾液・リンパ液などの体液をいう。西洋医学では人体を構成している物質は数百万種類といわれているが、中医学ではわずか3種類だけで、その物質の減少や代謝障害によって病気を引き起こすと考えられている。このように中医学はマクロ診断である。
①気
気が少なくなることを「気虚」という。症状としては元気がなくなり、疲れやすい。気はエネルギーであるため、熱のエネルギーが不足した「陽虚」になると冷えにも繋がる。また気が停滞することを「気滞」といい、ストレスでイライラしたときには、肝の気滞すなわち「肝気鬱結(肝鬱)」によって自律神経失調が生じる。
②血
血が少なくなることを「血虚」という。症状としては栄養不足による肌の艶が悪く、貧血にもなる。また血が停滞することを「血瘀」といい、月経痛や動脈硬化などを生じやすい。腎の栄養が足りないことを「腎虚」といい、老眼、更年期障害や難聴などの老化による症状が生じる。
③津液(水)
津液が少なくなることを「津液虧損」、通称「陰虚」という。症状としてはのぼせ、やせ、熱中症などを生じやすい。また津液が停滞することを「痰飲」「痰湿」といい、吐き気、めまい、片頭痛などが生じやすい。痰湿が長期化によって熱化すると「湿熱」を生じる。これはお酒、肥甘厚味の過食などによって生じやすく、五臓六腑の炎症すなわち、がん、糖尿病などの重大な病気に繋がる。
それぞれの病証における漢方薬の一例を上図に記すので参考されたい。